ごぼうの健康効果と消炎作用~盲腸・虫垂炎が治った、大腸がん予防やアンチエージングにも
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牛蒡(ごぼう)はすぐれもの
子供の頃は牛蒡はあまり好きではなかった。金平牛蒡(きんぴらごぼう)? 食べる意味がわからなかった。
泥にまみれた根っこをたべる? 理解に苦しんだ。まあ味は蕗(ふき)や独活(うど)のように喉元が受け付けないようなものではなかったが、どちらかと言うと渋い味で食感は根っこ以外の何物でもなかった。
ところがこの牛蒡、実は恐ろしいほどの効用があることを知り始め、効能は朝鮮人参にも匹敵するどころか、多くの面で凌駕しており、抗酸化能は野菜の中でもトップクラスだったのです。不溶性に加え水溶性の食物繊維が豊富で抗酸化作用に優れたクロロゲン酸を多く含んでいます。しかし何よりもアルギニン酸という栄養ドリンク(精力剤)にも含まれている血流を盛んにする成分が、あの枯れたような姿のゴボウに多く含まれているというのが最初のカルチャーショックでした。
ごぼうに豊富に含まれる食物繊維やポリフェノールは、腸の環境を整え、改善させることで、便通を良くするだけでなく、免疫力を活性化させたり、腸内毒素を減少させることがわかっています。
ちなみに牛蒡を食べるのは日本人だけだそうです。日本人の長寿の秘密がここにもあるような気がします。
牛蒡の恐ろしいほどの消炎作用
お医者さんの話
そのむかし、早朝のラジオ番組で『健康スィッチ』という番組がありました。そこで聞いた話が次のようなものでした:
私の患者さんですが、こういう方がいました。10歳の時に虫垂炎(=盲腸)にかかり、その当時のかかりつけ医の先生から緊急に手術と言われたのですが、その方のお祖母さんが「手術はしないでほしい」とおっしゃられ、その時はそのまま自宅に帰られたのです。
その後、家庭に帰って、どうしたのかというと、ゴボウをなまのまま食べさせたということです。お祖母ちゃんの話によると、抗生物質がなかった時代は、生のゴボウをそのまま食べたそうです。生のゴボウを食べることによって、虫垂炎の原因である炎症自体を少なからず抑える作用がある、これは江戸時代から民間療法として伝えられた先人の知恵なのだそうです。
それからその患者さんが20歳になった時に、ふたたび虫垂炎にかかられました。その時にもまた生のゴボウを自宅で2日間食べさせられたということです。この患者さんは現在すでに40歳を過ぎていらっしゃいますが、その人生で2度の虫垂炎を手術と抗生物質の治療なくして自然療法で克服したというお話しです。(「西洋医学と先人の知恵」へ続きます。)
西洋医学と先人の知恵
抗生物質が開発され、まだ70年弱と歴史が長いわけではありません。明治時代、大正時代には、盲腸にかかられた方は、皆さんゴボウで治療されていたということを思うと、素晴らしいことだと感激します。
また牛蒡が食物繊維が多い食材であると同時に炎症を抑える作用があるということを考えると、食物繊維の多い食材は常日頃から取り入れることが大事だと思います。
現実的には西洋医学の科学的根拠に裏付けされた、エビデンスに基づいた治療が行われているというのが医療現場の現実なのですが、西洋医学と先人の知恵、両方の良い所を摂られることが大切だと私は思います。
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虫垂炎は手術をせずに「薬で散らす」という方法もあり、持病のように再発を続ける人もいます。しかし生の牛蒡を皮ごと食べるというのも結構辛いものかもしれません。
これらを避けるには普段から食物繊維をとることを心がけるのが大事ですね。
牛蒡の消炎作用 検証
牛蒡の抗酸化作用を再確認
別に上記の「牛蒡で盲腸を治した」という話を疑うわけではありませんが、他に情報がないか調べてみました。
そうすると次のような文章がありました:
皮付きのまま生のゴボウをすりおろして、そのしぼり汁コップ5分の1くらいの量を一気に飲ませます。
痛みの激しい時は、このしぼり汁を盃1杯ずつ、30分おきに与えます。ほとんど10時間以内に痛みは消えて治ってしまう例が多いそうです。
生の牛蒡を食べるのではなく絞り汁を飲むだけなら簡単そうですが、どうでしょうか。
皮ごと食べる
また抗酸化作用のあるクロロゲンはポリフェノールで、牛蒡の皮に含まれているので、食べたり、擦り下ろす場合は皮ごとでないと効果は期待できないそうです。
ただ最近の研究では、加熱、焙煎したごぼうの抗酸化能はさらにアップすることがわかりました。
たとえば金平牛蒡を調理する場合、生のまま使う場合より、牛蒡を予め蒸したほうが抗酸化力はアップして、さらに前処理を電子レンジで行う場合はさらに抗酸化力は高くなるという研究結果が「日本調理科学会誌 Vol. 46,No. 6,405~406(2013)」に掲載されています。
牛蒡の健康成分
サポニンとイヌリンの健康効果
ゴボウにはよく知られている食物繊維を始め、数々の健康成分が含まれ抗酸化作用に優れていることはこれまで書いてきたことですが、さらに注目サポニンとイヌリンです。
サポニン
ゴボウのサポニンは悪玉コレステロールを分解し、アンチエージングも期待できるそうです。
土の中というある意味過酷な環境に生きるゴボウは、様々な細菌から身を守らなければならないのですが、そのためにゴボウの皮にはサポニンというポリフェノールが含まれています。
ここで話を逸らせて申し訳ないのですが、おそらくこの牛蒡の例をはじめ、「環境から身を守るために、〇〇には〇〇がある」という言い方がされますが、たぶん考え方は逆で、ポリフェノールが皮に含まれていたおかげで牛蒡は様々な細菌から身を守り生き抜いてきた、という考えの流れのほうが自然に思います。おそらく似たような種が何百、何千と存在してきた歴史で、牛蒡が絶滅せずに生き抜いてきた原因が、他の絶えてしまった仲間の種とは違って皮に細菌をガードする作用のあるポリフェノールが含まれていたところにある、つまり偶然がもたらした恩恵のおかげで牛蒡が過酷な環境で生きられたということなのだと思います。
つまり論理としては「〇〇するために△△がある」ではなく「△△があるから〇〇できた」と考えるほうが自然に成り立つと思います。
自然界の生物は「何かに順応するために、それに対応する仕組みを作った」のではなく「対応する仕組みがもともと備わっていたので、その何かに順応できた」と考えたほうが良いということです。そうしてその仕組が備わっていなかった生物は、環境に順応、対処できずに絶えてしまい、現在確認されている種のみが生き残っているということなのだと思います。
さてサポニンですが、「サポ」は「シャボン」とおなじ語源で意味もほぼ同じだそうです。油を分解する界面活性剤です、もちろん化学合成ではなく植物由来の安全な成分でしょう。
細菌の表面を被う細胞膜はコレステロールでできています。サポニンはこのコレステロールを分解して細菌をやっつけます。ということはゴボウを摂れば腸内の脂分を分解してくれる。血中の悪玉コレステロールを分解するわけですからダイエット効果があるということです!
またサポニンは万能薬として古来より知られている朝鮮人参にも含まれていて、体温を上げて元気にしてくれる滋養強壮作用、血液をさらさらにして炎症を抑える抗血小板作用、免疫力を高める免疫賦活作用、傷をきれいになおす創傷治癒作用、癌になりにくくなる抗腫瘍効果、若返りのための抗酸化作用などの効能が期待されています。
イヌリン
イヌリンは冷えやむくみに効くと言われています。イヌリンは水溶性で天然オリゴ糖の一種です。
ゴボウは多年草で、秋に葉が枯れて春に再び芽吹くために、冬の枯れた大地からも水分を吸収する必要があります。そのためゴボウにはイヌリンという水溶性ムコ多糖類が入っています。これは紙おむつや生理用ナプキンの中に入っている吸水性ポリマーと同じです。ゴボウをとることにより身体を芯から温めむくみを取ってくれるので、冷えやむくみの効果が期待できるのです。
牛蒡の大腸がん予防効果にも期待
ゴボウの食物繊維はキャベツの5倍
牛蒡は食物繊維が豊富で、キャベツの5倍の食物繊維があります。
大腸がんを予防するには、善玉菌を増やすことが大事と言われています。腸の若さを腸内細菌でみる「腸年齢」という言葉を聞いたことがあると思いますが、腸も年齢とともに老化していきます。腸内細菌である善玉菌が腸内に増えれば腸年齢も若返ります、腸内細菌には善玉菌の他に日和見菌、悪玉菌があります。プロバイオテクスと呼ばれる善玉菌は乳酸菌やビフィズス菌などと呼ばれているものがあります。日和見菌は状況により善玉菌にも、悪玉菌にもなる細菌です。悪玉菌は腸内で腐敗物を作り、有毒物質を発生させるという悪さをします。悪玉菌が増えると免疫細胞がダメージを受け、体全体の免疫力も低下します。
腸内環境を整えるのに役立つゴボウの食物繊維
善玉菌は悪玉菌のそうした悪さを無害化する役割があります。善玉菌を増やすことが大腸がんの予防や免疫力の低下防止につながります。ゴボウに多く含まれている食物繊維とオリゴ糖は善玉菌の栄養源になり、また食物繊維そのものが、悪玉菌のつくる有毒物質を体の外に排出する働きをもっています。
肉食に偏りがちな人で野菜不足の人がすすんで食物繊維を摂ろうと考えるならば、やはりゴボウのことを意識して積極的に食べるようにすると効果的だと思います。
ゴボウ100gあたりの食物性とオリゴ糖
ゴボウの食物繊維の含有量は100gあたり5.7gと、野菜の中でもトップクラスです。これはモロヘイヤの5.9gに次いで、野菜の中では2番目の多さです。
オリゴ糖は肉や魚にも含まれていますが、野菜にはより多くのオリゴ糖が含まれています。その野菜の中でもゴボウには100gあたり3.6gものオリゴ糖が含まれています。 他にタマネギ2.8g(ネギ0.2g)ニンニク1.0g、納豆2.0g(豆腐0.4g、枝豆0.1g)、バナナに0.3g、ハチミツに1.5g、エシャロットに2.8g、生米に0.05g含まれています。ちなみにオリゴ糖の含有率が高いのにはきな粉7gもあります。
善玉菌を増やして大腸がんの予防をするには、食物繊維、オリゴ糖が豊富に含まれるゴボウが食材として最適です。
ゴボウを手軽に摂るには
ゴボウの効能
ここまで見てきたようにゴボウには
血流の改善、血中コレステロールの抑制、抗酸化作用(クロロゲン酸によるシミ予防、消炎作用)、腸内環境改善、デトックス(解毒)などに優れた作用が期待できます。
ゴボウを手軽にとれるごぼう茶
しかし毎日ゴボウを調理して食べるのはたいへんですよね、ゴボウを手軽に摂れる食品としては「ごぼう茶」があります。ぼう茶は最近ではペットボトル入りのものも販売されています。コンビニなどで見かけることもあります、特に大きな病院内のコンビニにはたいていペットボトルのごぼう茶がおいてあります。やはりごぼうの評価が高いことがわかります。
ごぼう茶では、ペットボトルよりもコスパの高いティーバッグのものが良いと思います。
外出先では厳しいですが、家庭では手軽に美味しく飲めるのがティーバックのごぼう茶です。
実はだいぶ以前にもテレビでアンチエージングの南雲医師の出演する番組をみて、アンチエージングに良いというごぼう茶を試したことがあったのですが、ひどい味で途中で止めてしまいました。渋さが目立ち、ゴボウの嫌な味、エグみが強調されているようで、これでは続けられないと思いました。
しかし最近その南雲先生のすすめる「焙煎ごぼう茶」というものがあり気になって試してみました。
ゴボウは熱を加えることで抗酸化作用が上がることが知られています。焙煎することで効能や味も良くなるそうです。飲んでみた感じは、たしかにゴボウの味がするけど美味しいものです。これならば手軽に続けられるので試してみる価値はあると思います。
2種類の焙煎ごぼう茶を比較
南雲医師が監修してあじかんという会社から販売されているごぼう茶は数種類あり、何がよいのか迷ってしまいます。種類や容量に合わせて値段もいろいろあり、せっかく試してみようと思っても買う前の段階で選択肢が多くて選べないということになってしまいました。
わかりやすくいうと、「焙煎ごぼう茶」で最初に選ぶものは2種類。
「国産焙煎ごぼう茶」と「国産焙煎ごぼう茶プレミアムブレンド、ごぼうのおかげ」です。
「国産焙煎ごぼう茶プレミアムブレンド、ごぼうのおかげ」
購入したのはお試しサイズとしてでている20gティーバッグx7包(¥1000)です。
初回のみ600円で購入できるので通販で(あじかんのホームページ)購入しました。
定期購入の縛りはありません。
1包で1~1.2リットルのお湯または水で、煮出し、湯出しまたは水出しでつくります。
原材料:ごぼう(青森産または茨城産限定)
「国産ごぼう茶」
もっとも小さい個数パック、10gティーパックx20包をamazonで購入しました。
円でしたが(合わせ買い対象:注文額2000円以上で購入可)、定期購入455円(2週間~6か月で受け取り周期設定可)もあります。
1包で500~600ccのお湯または水で、煮出し、湯出しまたは水出しでつくります。
原材料:ごぼう(国産)
2つのごぼう茶の違い
この2種類のごぼう茶、違いはあまりよくわかりません。味もはっきりとした違いはわかりませんでした。
栄養成分もプレミアムのほうが優れているのですが、わずかな違いです。
ただ乾燥した状態でティーバックの香りを嗅いでみると、香りはあきらかにプレミアムのほうが香ばしさがより感じられ良かったです。プレミアムではないほうはちょっと泥臭い感じもしました。
ティーバッグ10g(手前)と20g(奥)
「国産ごぼう茶」は10gティーバッグなので、紅茶のティーバックと同様にカップに入れてお湯を注いでという飲み方でもOKです。「プレミアム」のほうはポットを使わないともったいないですね。
コストはプレミアムが10gあたり43円、国産ごぼう茶が27円ですが、国産ごぼう茶の方はamazonで定期購入することで23円まで単価が下がります。一方のプレミアムは算出したのはお試し価格なので次回からは単価がもっと上がりますので値段的には2倍以上の差があります。
あじかんのごぼう茶の詳しいいビュー記事は→「国産焙煎ごぼう茶2種を比較」
おすすめは「国産焙煎ごぼう茶」です。ただはじめは自分と同じように両方試してみると良いと思います。